COLUMN Reika Saito / Israel Media
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Reika Saito / Israel Media

2023年08月30日掲載

米Rubrik社がイスラエルのサイバーセキュリティスタートアップを買収へ

2つのサイバーセキュリティ企業の技術統合により、サイバー攻撃を事前に阻止するソリューション提供が可能に

Rubrik社のCEOは「Laminar社の可視性とAI駆動型テクノロジーがRubrik社のサイバーセキュリティ・ソフトウェア・ソリューションに統合されることで、複数のクラウド環境でデータを管理・利用する企業がサイバー攻撃から最も機密性の高いデータをより適切に保護できるようになる」と今回の買収について述べました。
またこの技術統合によって、企業はすべてのデータがどこに存在し、誰がデータにアクセスし、どのように使用されているかを把握することができ、より巧妙なサイバー攻撃を事前に阻止することが可能になるとしています。

イスラエルのLaminar社、Microsoft社の支援を受けたサイバーセキュリティ企業であるRubrik社に買収される

米サイバーセキュリティ企業のRubrik社は、パブリック・クラウドに保存された機密データの監視と保護を支援するデータ・セキュリティ・プラットフォームを提供するイスラエルのスタートアップ企業Laminar社を買収すると発表しました。

買収の一環として、Rubrik社はLaminar社を新たなサイバーセキュリティ研究開発センターへと転移させる予定です。Rubrik社は現在、インドのバンガロールとカリフォルニア州パロアルトにある本社で研究開発センターを運営しています。

TechCrunch誌の報道によれば、取引の詳細は明らかにされていませんが、取引額は1億ドルから2億5000万ドルと推定されています。

最高経営責任者(CEO)のAmit Shaked氏と最高技術責任者(CTO)のOran Avraham氏によって2020年に設立されたLaminar社は、パブリッククラウドのアカウントに保存され実行されるすべてのもののセキュリティと漏洩防止のためのデータプラットフォームを構築しました。
14歳の時に高校で出会ったShaked氏とAvraham氏は、ともにイスラエル国防軍の情報部隊である8200部隊に所属し、信号情報の収集と暗号解読に注力していました。

Laminar社のプラットフォームは、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google、Snowflakeを含むすべての主要なパブリッククラウドサービスプロバイダーにわたって、自律的かつ継続的なデータ発見と監視を提供しています。AIと機械学習を使用してデータをスキャンし、データフローを中断することなく侵害を検出して修復するデータ可視化ツールが含まれています。

2014年に設立されたRubrik社は、クラウドベースのランサムウェア対策とデータバックアップ・管理ソフトウェアを開発しています。同社は、Nvidia社、PepsiCo、Home Depot社を含む4,500以上の企業顧客を有しているといいます。

Rubrik社のMike Tornincasa最高経営責任者(CEO)は、Laminar社の可視性とセキュリティツールがRubrik社のサイバーセキュリティ・ソフトウェア・ソリューションに統合されることで、複数のクラウド環境でデータを管理・利用する企業がサイバー攻撃から最も機密性の高いデータをより適切に保護できるようになると述べました。

デジタルトランスフォーメーションとクラウド移行の時代には、既知および未知のシャドーデータストアの数が爆発的に増加し、複数のクラウド環境にまたがるデータセキュリティの必要性が高まっています。
Laminar社によるとシャドーデータとは、簡単に言えば、コピーやバックアップされたり、データストアに格納されたりすることで、セキュリティやITによって管理されたり、同じセキュリティ構造の下に置かれたり、最新の状態に保たれたりしていない企業のデータのことです。

また調査会社Gartner社の推計によると、2025年までに、新しいデジタル・ワークロードの95%以上がクラウドネイティブ・プラットフォーム上で展開されるといいます。クラウドアプリケーションの継続的な成長に伴い、高度なランサムウェアを含むサイバー脅威も増加しています。IBM社の「Cost of Data breach 2022」レポートによると、クラウドベースの侵害はデータ侵害全体のほぼ半分を占めています。パブリック・クラウド・ベースの侵害は、企業に年間平均502万ドルの損害を与えています。

「シャドーITという形でデジタルトランスフォーメーションには暗黒面があり、見えないものであるサイバー攻撃に対して脆弱なままになっていることに多くの企業が気づいています。われわれは、顧客が不可避なものに対して確実に備えることを当社と同様にとらえている企業であるRubrik社と相乗効果を見出しました」とShaked氏は語っています。

「サイバーポスチャーとサイバーリカバリーを組み合わせることで、組織が攻撃のどの段階でも、どのような脅威にも対処できるサイバーレジリエントな未来を創造することができます」とShaked氏は続けます。

Rubrik社によると、Luminar社のAI駆動型テクノロジーの統合により、企業はすべてのデータがどこに存在し、誰がデータにアクセスし、どのように使用されているかを把握することで、より巧妙なサイバー攻撃を事前に阻止するプロアクティブなソリューションを提供できるようになるといいます。
Luminar社は現在までに、サイバーセキュリティ企業のSentinelOne社、Salesforce Ventures、TLV Partners、Meron Capital、Tiger Global and Insight Partnersなどの投資家から6700万ドルを調達しています。

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