Check Point社、リモートワークのためのセキュリティツールを提供するイスラエルのサイバーセキュリティ企業を買収へ

フォーチュン500企業など世界の3000社を顧客にもつスタートアップ、Perimeter 81社

リモートワークやハイブリットワークが浸透した現代において問題となっているのは、リモートワーカーを狙ったサイバー攻撃です。以前記事で取り上げたように従業員を狙ったサイバー攻撃が頻発している中、リモートワーカー向けのセキュリティーツールの強化が企業にとって重大な問題となっています。
米大手サイバーセキュリティ企業であるCheck Point社はリモートワーカーやハイブリットワーカーを保護するため、今回イスラエルのスタートアップであるPerimeter 81社の買収を発表しました。
Perimeter 81社は昨年ユニコーン企業に認定されており、企業がどれだけの経常収益を期待できるかを示すビジネス指標である年間経常収益（ARR）が前年比で2倍以上になったと発表していました。

Check Point社がテルアビブのサイバースタートアップをリモートワーカー保護のため4億9000万ドルで買収

サイバーセキュリティ企業のCheck Point Software Technologies Ltd. は24日、リモートワーカーやハイブリッドワーカー向けのセキュリティツールを強化するため、イスラエルに設立されたスタートアップ企業のPerimeter 81社をcash-free、debt-free deal（一切の売掛金・買掛金がゼロの状態）で約4億9000万ドルで買収すると発表しました。

この買収額は、わずか14ヶ月前にPerimeter社がシリーズC資金調達ラウンドで1億ドルを調達し、ユニコーンの地位を獲得した時の評価額10億ドルに対して大幅なディスカウントとなります。
金利の上昇、インフレの急上昇、世界経済の減速の中で、低金利融資の時代が終わりを告げ、昨年の世界市場は動揺し、ハイテク企業のバリュエーションは暴落しました。

2018年に設立されたPerimeter 81社は、クラウドベースのプラットフォーム上でハイブリッドワークフォース向けのネットワークサイバーセキュリティソリューションを開発しています。
同社によると、Perimeter 81社のソリューションは、”企業のクラウドとオンプレミスのネットワークを守るITの能力を阻害するサイバー上の複雑さ “を伴うことなく、分散型のハイブリッドワークプレースをサポートします。このスタートアップ企業は、フォーチュン500企業やさまざまな分野の業界リーダーを含む、世界中の3,000社の顧客と取引をしています。

Check Point社は、「このネットワーク・サイバーセキュリティ・ソリューションにより、リモート・ユーザーは、クラウドのプライバシー侵害に対処しながら、どこにいても高速で安全なインターネット・ブラウジングの恩恵を受けることができる」と述べています。
COVID-19の大流行以降、ハイブリッド・ワークが標準となり、デジタル・トランスフォーメーションによってデータセンターがクラウドに移行し、高度なランサムウェアやマルウェア攻撃などの侵入経路が増える中、ネットワーク・セキュリティは企業や組織にとって深刻な脅威となっています。

ナスダック市場に上場し、150億ドル以上の市場価値を持つCheck Point社は、この買収とスタートアップのセキュリティ・ツールの統合により、”リモート・ユーザー、サイト、クラウド、データセンター、インターネットにわたる安全なアクセス “を提供することになると述べています。
Check Point社のCEOであるGil Shwed氏は「ハイブリッド・ワークの登場とクラウド・トランスフォーメーションの台頭により、ネットワーク境界を超えたセキュリティ・サービスの需要が高まっています。Perimeter 81社の機能を活用し、Check Point Infinityプラットフォームに統合することで、包括的、協調的、統合的なソリューションを通じて最高のセキュリティを提供するという当社のビジョンを継続します」と述べています。

Check Point社が引用したGartner社のレポートによると、セキュア・アクセス・サービス・エッジ（SASE）ソリューションの市場は、2026年までに200億ドル以上に成長する見込みです。

Perimeter 81社の最後の資金調達ラウンドは2022年6月で、2004年にハーバード大学でMark Zuckerberg氏らとFacebook社を共同設立したEduardo Saverin氏が2015年に設立した国際的な投資会社B Capitalが主導しました。
これまでにPerimeter 81社は約1億6500万ドルを調達しています。テルアビブに本社を置き、ロサンゼルスとニューヨークにオフィスを構える同社は、世界中で約250人の従業員を雇用しています。

Check Point社によると、買収は慣習的な完了条件に従い、2023年第3四半期に完了する予定です。
この買収は、イスラエルで設立されたサイバーセキュリティ・スタートアップ企業がここ数カ月で世界的なハイテク企業に次々と買収されたことに加え、急成長する企業のセキュリティニーズに応えようとするものの、世界的なハイテク企業が資金不足に直面しているためです。先週初め、米国のサイバーセキュリティ企業Rubrik社は、イスラエルに拠点を置く新興企業Laminar社を買収すると発表しました。

3月、米国のネットワーク・ソフトウェアおよびハードウェア・メーカーであるCisco Systems社は、クラウド・セキュリティ・ソフトウェアを開発するイスラエルのLightspin Technologies社を買収する意向であると発表しました。その他にも、米ハイテク大手IBM社が、ハイブリッド・クラウド・ベースのシステム全体で機密データを追跡・保護する自動データ・セキュリティ・プラットフォームを開発するイスラエルのサイバー新興企業Polar Security社を買収したり、米サイバーセキュリティ企業Palo Alto Networks社がCider Security社を買収したりしています。

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