イスラエルのサイバーユニコーン、アプリケーションセキュリティのスタートアップを買収

度重なる大手によるイスラエルスタートアップの買収

先月、米国のテクノロジー大手IBMが、イスラエルのサイバースタートアップPolar Security社を買収しました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。（米大手テクノロジー企業であるIBM社がイスラエルのサイバーテック企業を買収）

大手企業が自身のサービス向上のため、独自の技術を持つスタートアップ企業を買収するケースが近年多く見られます。
そんなユニコーン企業Snyk社によるスタートアップEnso Security社の買収についての記事をご紹介します。

イスラエル創業のサイバーユニコーン「Snyk社」、地元のアプリケーションセキュリティのスタートアップを買収

イスラエルの起業家によって設立された米国のサイバーセキュリティ・スタートアップSnyk社は、ソフトウェアアプリケーションの開発者向けセキュリティプラットフォームを強化するために、テルアビブに拠点を置くスタートアップEnso Security社を買収すると発表しました。

買収の金銭的条件は明らかにされていませんが、イスラエルのメディア報道における推定では、4500万ドルから5000万ドルの間とされています。
イスラエルの起業家であるGuy Podjarny氏、Assaf Hefetz氏、Danny Grander氏によって2015年に設立されたSnyk社は、ソフトウェア開発者や企業がコードからクラウドまでアプリケーションを構築する際のワークフローにセキュリティソリューションを統合し、高度なサイバー攻撃から保護できるように支援しています。

AIの急速な普及により開発者がより早くコードを導入できるようになったことで、開発者とアプリケーションセキュリティ担当者がビジネスに対するリスクを特定し優先順位をつけることがこれまで以上に困難になっているとSnyk社は述べています。
この複雑な環境において、アプリケーション・セキュリティ・チームは、セキュリティ上の問題を発見し修正するために、より優れた可視性を実現するツールキットを必要としています。

Snyk社の最高製品責任者であるManoj Nair氏は、「Enso社のプラットフォームを同社のセキュリティソリューションに統合することで企業はサプライチェーンのセキュリティ透明性を高め、ビジネスにおける重要なセキュリティカバレッジギャップを解消することができます」と述べています。

元Wixのアプリケーションセキュリティ専門家であるRoy Erlich氏、Chen Gour Arie氏、Barak Tawily氏によって2020年に設立されたEnso Security社は、いわゆるApplication security posture management（ASPM）プラットフォームを構築し、企業や組織がソフトウェアアプリケーションに対するセキュリティ脅威や脆弱性を管理・運用する統一的な方法を提供しています。
テルアビブに拠点を置くこのスタートアップは、2020年10月、YL Ventures社を筆頭に600万ドルのシード資金を調達しました。このスタートアップの他の投資家には、Jump Capital、Cyberark Ventures、Merlin Venturesが含まれています。

「この買収は、AppSecの混乱をなくし、組織におけるAppSecの管理方法に革命を起こすという私たちの共通の使命の証です」とErlich氏はブログに投稿をしました。
「Enso SecurityとSnykの機能を組み合わせることで、企業はセキュリティリスクと脆弱性の全体像を把握し、どこにリソースを集中させるかについて、情報に基づいた意思決定を行うことができるようになります」とErlich氏は綴っています。

Gartner社のレポートによると、2026年までに、ソフトウェア・アプリケーションを開発している企業や組織の40％以上が、より迅速にセキュリティ問題を特定し解決するためにASPMを採用すると予想されているそうです。
今回の買収は、Snyk社が12月にシリーズGの資金調達ラウンドで投資家から1億9650万ドルを調達し、会社の評価額を74億ドルに引き下げた後に行われました。

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