「忘れられる権利」を保証するイスラエル企業

「忘れられる権利」

忘れられる権利とは、インターネット上の個人情報、プライバシー侵害情報、誹謗中傷を削除してもらう権利のことで、日本でも2006年以降に検討・施行されてきた権利です。
企業の個人情報漏えいによって自身の情報も危険にさらされる現在。
削除を求める消費者をサポートする「無料」のソリューションを提供するイスラエルのスタートアップについての記事をご紹介します。

ハッカーに打ち勝ち、550社からデータを奪還せよ

スタートアップが無料の「忘れられる権利」サービスで2Mユーザーを保護

私たちは、サービスに申し込んだり、買い物をしたりする際に、個人情報を提供せざるを得ません。
一度だけの訪問者であれば、個人情報を提供する必要はありませんが、収集される個人情報の85％は、こうしたサインアップの際に提供されています。

技術的には、私たちは自分の情報を削除するよう要求することができます。しかし、米国市民は平均して550社にデータを保有されています。
それぞれの企業の担当者をたどってデータを削除し、削除されたことを確認するには、おそらく何年もかかるでしょう。

イスラエルのテルアビブに拠点を置くあるスタートアップは、解決策を持っており、「忘れられる権利」を唱えています。
あなたがこれまでに送受信したすべてのメールを無料でスキャンし、誰があなたのどんなデータを保持しているかを瞬時に正確に伝え、ワンクリックでそれを削除できるようにするものです。

IDFのエリート・サイバー・インテリジェンス・ユニットである8200出身で、Mine社の共同設立者兼CEOであるGal Ringel氏は、「私たちは、あなたのデジタル関係のすべての痕跡を見つける鍵となる、メールの受信箱をスキャンします」と述べています。

「私たちは、非侵入型の方法でこれを行います。つまり、メールの内容ではなく、メールの件名のみを処理し、メールの件名からNLP（自然言語処理）で購入、予約、その他の取引を特定することができるのです。」

そして、各企業が保有するデータと、500万社のプライバシーポリシーのAI分析から認識されるリスクに基づいて、5点満点で採点するのです。そのデータを企業に保持させるか、削除するかは、ユーザーの判断に委ねられます。

実際の事例を紹介します。ある人はニューヨークのラルフローレンで服を買いました。
Mine社のレポートでは、彼は一度だけ利用した顧客で、会社は彼の名前とEメールアドレスを知っており、データ侵害の可能性については5点満点で3点となっています。

あとは、「必要なのか」、つまり「データを残しておきたいのか」、「データを回収したいのか」をクリックするだけです。
回収とは、忘れられる権利を行使して、自分のデータを回収したい、つまり基本的に削除したいということです。

Mine社は2年前にスタートして以来、200万人以上がサインアップしています。ユーザーは通常、15〜30社をすぐに削除し、その後また100社を削除するために戻ってきます。
削除した企業を追跡し、その後サイバー攻撃を受けた場合に通知することで、35万人をデータ流出から救っているといいます。

GDPR（一般データ保護規則）の法律では、企業はデータ削除の依頼に1カ月以内に対応しなければなりません。
しかし、大規模な組織では苦戦しており、技術調査・コンサルティング会社のGartner社によると、1件の削除依頼に対応すると1,400ドルのコストがかかるという調査結果が出ています。

Mine社は、まさにその問題を解決するためのソフトウェアソリューションを提供している会社のひとつです。
実際、そのソフトウェアからの収益によって、消費者に無料でサービスを提供することができています（ただし、プレミアム有料版を導入する予定です）。

大企業の頭痛の種を作り、その解決策を提供することで、幸運にもかなりの利益を得ることができたと言えるでしょう。
Mine社は、消費者向けのサービスとしてスタートしましたが、いち早く企業向けソリューションにも取り組んだのです。

当団体について

日本とイスラエルを結ぶインキュベーション支援事業をワンストップにて提供しております。
スタートアップやベンチャー企業、また、当研究所からしかご紹介することが出来ないビッグプロジェクトのマッチング、紹介、参画募集や代理店募集など、すべて直付の紹介を行っております。

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