COLUMN Reika Saito / Israel Media
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Reika Saito / Israel Media

2023年04月11日掲載

イスラエルのスタートアップが日本の住友商事に技術提供

設立から4年で住友商事との契約締結に至ったスタートアップ

テクニオン・イスラエル工科大学発のスタートアップであるH2Pro社は、2019年の会社設立後順調に事業拡大を実現し、2022年に10キロ/日のグリーン水素生産に成功しました。グリーン水素とは電気分解時に有する電力が再生可能エネルギーによって供給されているものを指します。(詳細は本文中に記述)
従来より高効率・低コストで水素製造を可能にする同社の技術は世界中から評価を受けており、2024年の一般販売に向けて住友商事だけでなく、Bill Gates氏やHyundai Motor Companyからの資金調達にも成功しています。そんな注目スタートアップであるH2Pro社と住友商事との提携についての記事をご紹介します。

イスラエルのスタートアップが日本の住友商事に技術提供

イスラエルの企業が、日本の大手複合企業と戦略的契約を結び、将来のグリーンエネルギー源として広く注目されている水素を製造する技術を供給することになりました。

3月半ば発表されたところによると、カイサリアに本社を置くH2Pro社は、東京に本社を置く住友商事と、2030年までに2億5000万ドル相当の取引で協力することが明らかになりました。

H2Pro社は、ハイファにあるテクニオン・イスラエル工科大学のGrand Technion Energy Programが開発した電気分解機を製造するための独占ライセンスを持っています。

水素は自然界では単独では存在せず、他の分子と結合して水(水素と酸素)や石油や天然ガスに含まれる炭化水素(水素と炭素)を形成します。その水素を水から分離するのが「電気分解機」です。この目的のために使用される電力が太陽などの再生可能エネルギー源から供給される場合、その水素は「グリーン」と表示されます。

水素を気体で貯蔵・輸送するのは、多くの場所を取るという問題があります。そのため、水素は窒素と結合してアンモニアになることが多いのですが、液体であれば水素はより濃縮されます。
ここでも、アンモニアを作る化学的なプロセスで使われる比較的少量の電力を、再生可能な資源で生産すれば、水素は「グリーン」と表現することができます。

住友商事はグリーンアンモニアを製造・販売したいと考えています。グリーンアンモニアは、炭素を含まない農業用肥料としてだけでなく、グリーン電力源や船舶などの脱炭素化が難しい産業用の燃料としても利用できる可能性があります。住友商事は、2025年に電解槽技術を統合する予定です。

H2Pro社は現在、1日あたり200kgの水素を製造できるプロジェクトを建設中です。
イスラエルのナザレ近郊の工業地帯にある同社の工場では、2024年に最初の商業用電気分解機の生産を開始する予定です。

H2Pro社のビジネス開発ディレクターであるRotem Arad氏によると、住友商事はパイロットプロジェクトに参加して技術を習得し、エンジニアリングの専門知識や、同社が採掘するニッケルなどの原材料も提供する予定です。

H2Pro社のCEOであるTalmon Marco氏は、「当社がハイテクベンチャーから商業規模のメーカーに移行する上で、住友商事とのパートナーシップは非常に貴重なものです」と述べています。

また住友商事株式会社水素事業部長の市川善彦氏は、「グリーン水素は、日本の脱炭素化戦略において重要な役割を果たすものです。住友商事では、クリーンエネルギー事業のパイプラインの中で、最も効率的なグリーン水素の製造手段を活用することで、この移行に備えようと考えています。H2Pro社とのパートナーシップは、このビジョンを推進するものです」と述べています。

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