COLUMN Reika Saito / Israel Media
COLUMN

Reika Saito / Israel Media

2022年12月13日掲載

イスラエルで盛んなDSPM分野とは

DSPM

DSPM(Data Security Posture Management)とは、クラウド上に保管されている組織の機密情報の場所を特定し、保護するソリューションです。
日本ではあまり注目されていませんが、今日のイスラエルでは最も盛んな分野の一つです。
DSPMソリューションを新たに発表したイスラエルのスタートアップについての記事をご紹介します。

Wiz社、新たなクラウドデータセキュリティ技術を発表

イスラエルのスタートアップであるWiz社は、クラウドにおけるデータ・セキュリティの新技術を発表しました。この技術(専門的にはDSPM(Data Security Posture Management)と呼ばれます)は、パブリッククラウドにデータを保存する組織のセキュリティポリシーを特定、分類、実施することを可能にするものです。Wiz社は、これを別製品としてではなく、既存のクラウドセキュリティ製品に統合する予定です。

Wiz社の発表は、DSPMが今日のイスラエルの技術分野で最も盛んな分野の1つであることから、特に興味深いものです。過去2年間で、DSPMソリューションを開発するイスラエルのスタートアップは7社にのぼります。これらの企業は合わせて、市場のトップクラスの投資家から2億2,000万ドル以上を調達しています。

1%未満の市場浸透率

Wiz社は2020年にAssaf Rappaport氏、Ami Luttwak氏、Yinon Costica氏、Roy Reznik氏の4人で設立されました。2021年10月、同社は直近の資金調達ラウンドで60億ドルの評価額を発表し、昨年8月には年間経常収益(ARR)が1億ドルに達したと発表しました。

CSPM(Cloud Security Posture Management)と呼ばれる分野から発展してきたWiz社。CSPMは、イスラエルのもう一つのユニコーンであるOrca Security社も展開している分野であり、リアルタイムでサイバー攻撃から組織を守るのではなく、組織のクラウドシステムに侵入する可能性のあるものを特定し、事前に警告を発しようとするものです。このような侵入は、脆弱なパスワード、露出したサーバー、設定ミス、コードエラー、ソフトウェア更新の欠落などが原因で発生します。これらはいずれも、ハッカーがクラウド上の組織のシステムに侵入することを容易にする突破口となり得ます。

DSPMは、データに焦点を当てた同様の保護活動を、ほとんどの場合、組織にとって最も脆弱な資産であるデータに新たな保護層を追加する形で行おうとしています。この分野は、顧客の財務情報や個人情報、商業機密など、重要な情報がクラウド上に保管されている場所を特定することで、現在手作業で行われているプロセスを自動化することを目的としています。

クラウド上の情報を特定し保護する分野は比較的新しく、近年になってようやく台頭してきたものです。Gartnerのレポートによると、この分野は増加傾向にあるカテゴリーとされていますが、DSPMソリューションを使用している企業は世界でも1%未満にとどまっています。にもかかわらず、この分野の関係者は、将来的に数百億ドルを生み出し、一流企業にとって必須の製品になると確信しています。

独立した製品かプラットフォームか?

Wiz社は、顧客はCSPMとDSPMをそれぞれ別々に購入するのではなく、統合されたソリューションを購入することを好むと確信しています。同社の新分野への参入は、クラウドセキュリティ市場におけるプラットフォーム形成の一環であり、1つの製品で様々なツールや手段を提供することになります。

Wiz社の製品戦略担当副社長であるRaaz Herzberg氏は、CSPMとDSPMの組み合わせにより、Wiz社の強みが増すと語っています。「私たちの強みは、機密情報の解析と環境全体のマッピングを組み合わせることができる点です。この組み合わせにより、クラウド上のリスクの全体像を把握することができ、リスクが即座に発生し対策が必要な場合や、機密データが関与している場合、リスクが二次的なものである場合などを理解することができるのです。今回の開発は、多くのお客様からの要望から生まれたものです」と述べています。

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